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2019年10月4日(土)13:30〜16:30 B IG FRONT ひろしま ホールにて 講演会「働いている当事者と家族の話」を開催しました。広島市高次脳機能障害支援事業として広島市精神保健福祉課とサポートネットひろしまが協働して企画開催したものです。当事者と家族の体験をまじえた話が聞けるということで、80名を超える参加がありました。第1部は、当法人の副理事で、広島都市学園大学 言語聴覚専攻科教授 言語聴覚士の本多留美さんによる、高次脳機能障害についての基礎講座。様々な症状についての紹介がありました。

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第2部「働いている当事者と家族と専門職の話」では、松江からおいでいただいた佐藤雄一さんとお母様の弘美さんにご登壇いただきました。現在38歳の雄一さんが、交通事故からの20年を振り返って「事故からの再起 働くこと 結婚すること 子育て」というテーマで30分近く話をしてくださいました。なかでも、働き続けるためにしていること、として「休まない、遅刻をしない」「8時間寝るようにしている」「努力しても難しいことはあきらめる。そのかわりできることを人一倍頑張る。物覚えが悪いんで、簡単なところにおいてください と頼めるようになった」と話していました。講演会を聴きに来ていたクラブハウスのメンバーと後日このことについて語り合う機会があり、すごく心に残った、と感想を話していました。結婚を決めた時の押しの強さ?のエピソードは会場に笑いが生まれました。お母様の弘美さんのお話で印象的だったのは、冷静に息子さんの状況を見極めて決断してきた視点でした。親の立場ならば、学校を卒業させてあげたいと思って当然ですが、授業の開始時間に間に合うように通うことができないといった状況を見て、退学を決めたこと、広島に高次脳機能障害の勉強に出向き、交通事故の示談に関わる弁護士の変更を決断したこと、など よく考えて決断されてきたことがわかりました。

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後半は「一応、仕事はしているんですけど。」というテーマで、守下邦昭さんと妻の潤子さんが登壇しました。あらかじめ、打ち合わせを何度かしていて、本多さんの質問に邦昭さんが答える形で講演を組み立てていたのですが、潤子さんから「今、邦昭さんは打ち合わせと違う話ををしていて・・・」と会場が和やかな雰囲気になることも何度かありました。潤子さんからは、事故のあと、邦昭さんが復職を目指していたときに職場で起こしたトラブルや、自宅で次々起きるおかしな行動が続いたとき、小学生だったお子さんの前で気丈にふるまったこと、それでもこらえきれずに泣いてしまったこと、とても精神的に辛かったことが語られました。邦昭さんは仕事を続けるために大事なこととして「頑張りすぎない」と話しておらえましたが、潤子さんからは「家族もひとりで頑張りすぎないことが大事でSOSを出したり、本人と距離を置くことも大事」と家族に向けてアドバイスがありました。こういう話は、医療の人ではなく体験者だからこそ実感を持って伝えられるのだと思います。当事者や家族の声を発信していくことは、当法人の役割の一つであると考えています。これからも続けていきたいと感じました。